Boys are sensitive age
その10






さて、ここからは後日談。

千尋は結果的に学校をさぼったという事になっていた。

ただの半日では誰も神隠しとは思わない。

なので、その事で両親から怒られ、お小遣いを減らされる羽目となった。

「うそぉ〜〜‥‥今月大ピンチなのにぃ‥‥」

‥‥あの湯屋でもう一度働いたら、多少はお金もらえるかな‥‥‥。

そんな事を真剣に考えてしまうほどに、千尋は追いつめられ―――差し迫ってこのピンチの状況をどう切り抜けるかに頭を悩ませる事となった。





そして一方ハクは。

「ハクのいじわる〜〜〜〜〜〜坊も会いたかったぞぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

坊のお相手を任されてしまっていた。

「‥‥坊は"色々"と忙しかったではありませんか。千尋も急いでいたもので」

「嘘だ! ハクは千とでーとしてたんだろっ!!! 湯バードから聞いて知ってるんだぞ、坊は!!!!」

――――おのれ、湯バード。

今度見つけたら八つ裂きにして海に捨ててやる。

ハクの殺気を感じ取ったか、湯バードは姿を見せない。

「坊も千とでーとしたい! したい!! した―――――い!!!!」

「‥‥‥私はそろそろ帳簿の方に戻らないといけませんから、失礼いたします」

戻りかけたハクの水干を坊がぎゅっと引っ張る。

「‥‥千にきすしてたんだろ‥‥」

その言葉にハクは、目に殺気をこめて坊を振り返った。

「―――坊。それは湯バードからお聞きになったんですね?」

湯バードの命運は今の言葉でほぼ決まった。

坊は殺気立っているハクにやや怯えつつも、ぎゅっと水干を握った手を離さない。

「‥‥坊をねずみ取りにひっかけたのも、ハクだろ‥‥」

――――ちっ。おとなしくしていれば良かったものを。

が、相手がいくら知恵をつけようと、千尋に指一本触れさせるものか。

カオナシも坊もまとめて闇に葬り去ってくれる。


(重ねて言うが、ハクがこのままストーカーにならない事を祈るばかりである。もう遅いという意見はとりあえず横においておこう)


心の中で舌打ちし、ハクはにっこりと微笑んだ。

「ねずみ取りがお気に召さぬようならば、今度はホウ酸団子でもご用意しましょうか?」

「ぼ、坊をバカにするなっ!」

戦闘態勢に入った坊(どうやら千尋に釣り合うためにと湯婆婆から魔法を教わったらしく、果敢にもハクに対抗してくるようになった)に、ハクも手の中に魔法の光球を作り出す。

「‥‥一度痛い目に遭ったくらいでは分かっていただけないようですしね?」





坊の悲鳴と天井から響く轟音をBGMに、今日もまた湯屋・油屋の一日が始まる。





END

ようやく終わりました。こんなフザけた小説なのに長くなってしまって申し訳ないですm(_ _)m
何となくハクがブラックハク入ってましたが、千尋の前では年齢相応に戻ってしまうあたりがまだまだ修行不足かもしれません(笑)。しかし‥‥書いてて楽しかったです。こんなかるーい感じの小説また書きたいです。