お色気大作戦
その2
33333HIT キリ番作品
今日も滞りなく仕事が終わり、三々五々従業員たちが帰っていく。 おねえさま達と談笑しながら帰っていた千尋は、階段の前に立っているハクに気がついて立ち止まった。 「‥‥そ、それじゃあ千、また後でね」 触らぬ神に祟りなしとばかりに、そそくさと去っていく湯女達。 それを見送って、ハクは千尋に近づいた。 「お疲れさま、千尋」 「ありがとう」 千尋はにっこりと微笑んでいる。 やはり、今日は何か考えがあっての事らしい。 ―――――たまにはこういうのもいいか。恥ずかしがっているのを押し倒すのもいいが、からめ手で行くのもいいかも。 なんだか楽しくなってきたハクは、ふふっ‥と笑みを漏らした。 「疲れたろう? 湯殿の仕事はハードだから」 「そうでもないよ。慣れたし、今は仕事楽しいよ」 「そう。千尋にはあまり辛い仕事はさせないようにと言ってあるんだが‥‥」 「大丈夫。あんまり特別扱いしないでね、私みんなと一緒に頑張りたいんだ」 そんな他愛もない話をしつつ、ハクは少しずつ千尋との距離をつめる。 「‥‥千尋」 ハクが手をのばそうとするのを、千尋はさりげなく避けた。 「今日はダメ。昨日相手したでしょ? そういつもいつもじゃ私の体保たないよ」 しごくもっともな意見である。 「女の体は男みたいに頑丈じゃないの。たまには休ませて貰わないと、私の体壊れちゃう」 「私は毎日でも千尋を感じたいんだけど」 ハクの言葉に千尋が頬を赤らめた。 が、負けじと言い返してくる。 「ハクはいいかもしれないけど‥‥受け入れる私の方の負担とか考えた事、ある? とっても大変なんだよ?」 「出来るだけ優しくしているつもりなんだけど‥‥千尋が私を煽るから」 「あ、煽ってなんかっ‥‥」 慌てふためく千尋に、ハクはくすっと微笑みを浮かべた。 その姿に千尋は何とか平静を取り戻し、胸を押さえてすーはーと息を整える。 「あ、煽ってなんかないよ、ハクがそう勘違いしているだけじゃない?」 数少ないボキャブラリの中から必死に考えて答えているのだろう。 必死の形相の千尋がたまらなく可愛らしい。 そろそろハクの方も我慢の限度が近づいてきている。 回りくどい駆け引きはこれくらいにしておいて、本題に入りさっさと拉致したいところだ。 「そう? じゃあ‥‥今日は色々と試してみようか」 「‥‥は?」 ハクは千尋の腰に腕を回して引き寄せた。 「いつも千尋ばかりが受けているからつまらないのだろう? 私も色々と興味はあるから、してみてもいいよ」 「‥‥はぃっ!?」 ハクの腕の中で千尋が仰天したように目を見開いた。 「千尋の方からそういうおねがいをされるとは思わなかった」 「いや、ちょっと!? ち、違うよっ、そうでなくてー!!!」 「今日は間に合わないけど、明日には色々と用意しておくから」 「ちがぁぁぁぁぁぁぁうー!!!」 哀れ、千尋は無茶苦茶上機嫌のハクによってずりずりと引きずられていったのであった。 次の日。 千尋は、げっそりとした顔で女部屋に戻ってきた。 それを見て真っ先に「やばい」と危険を感じたのは、リン。 その証拠に、千尋の視線はまっすぐにリンに向けられている。 「セ、千?」 「――――リンさぁん‥‥この落とし前、とぉぉぉっぜんつけてくれるわよねぇぇ!?」 背中に炎をしょって近づいてくる千尋に、リンは悲鳴をあげた。 END |
33333キリ番作品です。ブラックハクと千尋の「大人の会話」を(でもあくまでも会話のみ)という事で、色々考えて書いてみました。‥‥やはりハクの方が数段上手(うわて)だったようです(笑)。何を試してみたのかは二人のみぞ知る‥‥‥(爆)。 |