神の花嫁
〜Sacrifice〜
その23
油屋を出る日が来た。 ほんの僅かな荷物を持ち、私服に身を包んだ千尋は、ぺこりと頭を下げた。 「お世話になりました」 「また遊びに来いよっ。ハクに働かせて金貯めて、客として来い!」 「‥‥‥リン」 リンの言葉にハクは眉をひそめた。 「じゃ何か? おまえまたここで千に湯女として働かせる気か? 男なら面倒みるっ! てくらいの度胸みせろよな」 ああいえばこういうのリンに口でかなう筈もなく、ハクは「気持ちだけ受けておく」とごまかすにとどめた。 が。 「ハクが浮気したら戻ってこいよ〜〜」 「リン!!」 さすがに声を荒立てるハクに、周りが笑い出した。 「そうムキになるな。まぁここはおまえらにとっちゃ住処みたいなモンなんだから、いつ帰って来てもかまわんからな」 釜爺の言葉にハクも千尋も「はい」と素直に頷いた。 「帰って来たら今度はただ働きだからね」 そう言った湯婆婆は、坊に睨まれてその言葉を引っ込めるしかなかった。 「さあ、行こう」 ハクに促され、千尋は頷いた。 「うん」 皆の声援を後に、歩き出す。 二人、手を繋いで。 「何処に行くの?」 「まだ決めてないんだ‥‥千尋は行きたいところ、ある?」 千尋は微笑んで、ハクを見上げた。 「‥‥コハク川を、見に行こう」 千尋の言葉に驚きつつも、ハクは頷いた。 「そうだね‥‥コハク川を見てから‥‥決めようか」 「うん!」 二人は、時計台を目指し―――――歩き出した。 END |
ようやく完結しました〜〜〜っ!O(≧▽≦)O 4回目の映画見に行く日にアップ出来て良かった‥。 この話は1回目の映画を見てちょっとした頃からずーっと考えてました。ハクが千尋に真実を話すあたりまでは書き終わってたんですが、それからキリ番作品とか異邦人とかの方に追われて途中でほったらかし(汗)。ラストまで書き上がったのはそれこそ10月の3週目あたりでした‥‥ラストのエピソードなんかも苦肉の策です(汗)。 この作品書き終わったらもう後思い残す事はないので、いつサイト閉めてもいーです(爆)。‥‥‥うそです、もうちょっと続けます(笑)。千尋が人間でなくなった、という設定は自分でもなんか気に入っちゃいましたし、続きもなんか思い浮かんじゃってるんで、また何かの機会にアップするかと思います。 長い作品になりましたし、結末には不満ある人もいるかと思いますが、ここまでおつきあい下さいましてありがとうございましたm(_ _)m |