Curse(カース)
その13
龍が口を開いてハクの体を傷つけようと牙を剥いてきた。 身をひねって避けるも、体にその長い胴体を巻き付かれ一気に締め上げられる。 「‥‥くっ‥‥」 ぐぃぐぃと締め上げられ、さすがにハクもうめき声をあげた。 傷つけたくない。 もしかしたら、自分のもう一つの姿かもしれないこの龍を、傷つける事は出来ない。 ぎりぎりと締め付けてくる圧迫に、骨が軋む。 渾身の力をこめればふりほどける。 しかし。 出来ない。 どうしても。 その瞬間。 ぱぁっと水面が光り輝いた。 そして。 光の筋が水の中を刺し貫いてくる。 その光の一本が、龍の体を刺し貫いた。 「―――――ギャアアア!!」 傷つききった体をさらに痛めつけられた龍が、痛みのあまりハクを離しのたうち回る。 「主!!」 ハクが傷を見ようとするが、あまりの暴れように近寄る事すら出来ない。 「傷を見るから‥‥落ち着いて‥‥!!」 龍がギラッとハクを睨む。 怒りと、憎しみの色が見える瞳。 そして、その裏にある悲しみ。 ――――ドウシテ 我バカリガ コノヨウナ 目ニバカリ 遭ウノダ‥‥‥ 「‥‥‥‥!!」 ハクがその色に息を呑み――――呆然とする、その隙をついて。 龍は一気に水の中から躍り出た。 「しまっ‥‥た!!」 外には、千尋がいる。 今の攻撃は、きっと美晴だ。 千尋は、美晴のすぐそばにいる。 ハクは青ざめて龍の後を追った。 |